正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

近ごろの根津  (第196回)

東京都台東区の根津には、正岡子規と家族が暮らしていた「子規庵」(建物は再建)と、友人の中村不折のコレクションを展示している「台東区書道博物館」があります。いすれも、拙宅から歩いて5分程度。間にビルがあるので直接は見えませんがご近所です。


周知のように東京都では、今年(2020年)の7月9日から11日まで、初めて三日連続して新規の感染報告数が200名を超えました。特に私が懸念しておりますのは、「夜の街」や「若い世代」などと、都知事もマスコミも盛んにハイリスク層を喧伝していたのに、感染経路不明、中高年層、幼児にまで拡がっています。

この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、まだまだ私たちの知らない性格を持っているのか、それとも、あまり考えたくないことですが、病原菌そのものの変化が激しいのか、とにかく油断なりません。私も経済活動は生きていくために必要ですが、くれぐれも予防には手を抜かないように注意しています。


さて、東京都は国の緊急事態宣言に加えて、「東京アラート」という、いまだにあれは何だったのと皆で訝しんでいる状況が続き、子規庵と書道博物館もしばらく閉館していました。私が外勤の帰りで最後にその前を通ったときは、間もなく再開するという看板が出ていました。

しかし、上記の三日連続200名は、そのあとの出来事です。今後どうなるか分かりませんので、遠方からいらっしゃるご予定の方は、ウェブ・サイトで最新情報をご確認いただくとともに、できれば当日なり、電話でお確かめください。まずは、子規庵のサイトです。

 
www.shikian.or.jp


トップ・ページがカエル。これは「仰臥漫録」にある子規の自筆の絵で、鋳物の蛙の「裏面」、実物大とある。「安民」からもらったそうなのだが、ロート製薬の山田安民氏か? 勉強不足で断定できませんが、子規や真之や漱石と同じ年代です。イチジクに手足が生えたと御覧ぜよ、と書いている。

子規庵は今のところ「試験公開日」を設定して、おそらく隔日で公開する方法を選んだようですが、そのあとの感染流行の展開が良くないため、お気の毒に不安定な運営になりそうです。通りかかったときに、子規庵の裏手にある庭の瓢箪の子が育っていました。

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一方の書道博物館は、その名のとおり区立ですので、台東区の方針に従います。上野の博物館や動物園も同じで、6月下旬から予約制などを取りつつ、徐々に再開しています。

www.taitocity.net


ちなみに、再開していればもう外されているはずですが、私が同館と子規庵(お互い筋向いです)の前を通り過ぎて、これらの写真を撮った6月25日には、このような看板が立ててありました。どうみても不折の筆跡です。お見事。

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こういう不便な毎日も、残念ながらしばらくは続くものと思います。海外ではもっと大変な国もあるようですので、せめてここ日本ではこれ以上、悪化しないことを切に願います。コロナ、コロナと大騒ぎしている私たちですが、空気感染する結核の患者だった子規を、家族や友人らは身近で支え続けました。

妹のお律は、今でいう看護師・介護士の役割だけでなく、母のお八重とともに家事をこなし、子規に学が無いなどと叱られながら口述筆記もしています。精が付くからと、スッポンの血も飲ましていたそうな。蛙の絵は明治三十四年九月十日の日記で、続きに「夜半家人を起こして便通あり」、「よく眠る」とある。

 人問はばまだ生きて居る秋の風 - 子規



(おわり)



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上野不忍池にはスッポンがたくさん棲んでいます  (2020年7月2日撮影)


















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