正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

肉弾  (第75回)

手元に古い本が一冊ある。おそらく私の蔵書の中で、最も昔に発行されたものだと思う。奥付によると、昭和8年5月10日に印刷され、同15日に発行とある。ちょうど私の母が生まれた頃で、昭和8年(1933年)というのは今上がお生まれになった年でもある。 ただし…

双眼鏡 その名はツァイス  (第74回)

1905年5月27日、夜の日本海。当日、波高くして戦場に殆ど出られなかった駆逐艦や水雷艇は、午後の大海戦で味方の連合艦隊が蹴散らかした敵艦を探し求めて、暗闇の海へと出撃した。大雑把な理解しか持っていないが、駆逐艦とは魚雷により、水雷艇とは機雷によ…

信さんの歩いた道  (第73回)

三人の主人公のうちで、これまで、このブログに一番登場回数が少なかったのは多分、秋山好古だと思う。これは彼が気に入らないからではなくて、その逆であり、お楽しみは後にとっておいてあるのです。司馬遼太郎も、その筆致からして秋山兄弟のうちでは兄貴…