正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

鏡のごとき黄海は  (第60回)

宣戦布告の前に戦闘行為をしても国際法違反にはならないのだろうか。今はどうか知らないが、日清戦争のとき陸軍は朝鮮半島で、海軍は豊島沖で既に清国と戦い、幸先よく緒戦を制している。英国世論は東郷艦長が国際法を順守したとの理由で沈静したという。外…

万国公法  (第59回)

小説「竜馬が行く」のあとがきに、日露戦争の話題が出てくる。「皇后の奇夢」という記事が都下のすべての新聞に載るという一大事が起きた。ロシア帝国との国交が断絶した1904年2月6日、連合艦隊が佐世保を出航したその夜、葉山の御用邸にて避寒中の皇后陛下…

豊島沖  (第58回)

印象として、日本国が明治維新や西南の役を経由しつつ富国強兵の看板を掲げ、ひとり気勢を上げていたころ、近隣の諸国は不調であったらしい。ロシア帝国は「坂の上の雲」の時代から、そう遠くない将来に悲惨な末路を辿る。清国も同様に老朽しており、しかも…

蛤御門  (第57回)

学生時代を過ごした京都で、その後半は原付を乗り回していたのだが、ある日スピード違反でパトカーに捕まった。速度がオーバーしていたのは知っていたので、大人しく連行されパトカーの後部座席で切符をもらった。大した額ではなかったので交通違反そのもの…