正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

海軍陸戦重砲隊  (第145回)

今回と次回は、1904年8月19日から始まる第一回の旅順総攻撃の前哨戦に関する話題。今回は、前回の途中で触れた黒井悌次郎中佐が率いる海軍陸戦重砲隊についてです。 旅順攻囲戦は、司馬遼太郎も主に陸軍の資料を基に書いたはずで、このためか「坂の上の雲」…

砲弾が足りない  (第144回)

戦車や戦闘機が登場するのは、約十年後の第一次世界大戦のときで、また、日露戦争時に信さんが注文した「機関砲」という名で「坂の上の雲」にも出てくる機関銃が、本格的に使われ始めたのも一次大戦のときだそうだ。 日露戦争の火器は、大砲、小銃、地雷、機…

相手は山  (第143回)

なかなか筆が先に進まない。「坂の上の雲」の旅順戦は、極論すると、困ったことに乃木さんの出番がほとんどない。ここでいう「出番」とは、娯楽作品としての軍記に欠かせない主役の登場シーンで、古いもので例えれば鵯越とか勧進帳とか、「待ってました」の…

旅順総攻撃の数え方  (第142回)

これから旅順戦の経緯をたどるにあたり、肝心の総攻撃の回数と数え方が分からなくて混乱している。「坂の上の雲」は、文庫本第四巻にある「旅順」の章に、第一回は1904年8月19日開始と記されている。これは他の資料も変わらない。 また、旅順要塞を陥落させ…