正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

秉公  (第128回)

なぜ虚子は「清サン」なのに、碧梧桐は「秉公」なのだろうか。秉公がずっと歳若ならばまだしも、碧梧桐は虚子より、一歳だけだが年上なのだ。しかも、子規とは幼馴染というほど小さいころからの付き合いだったのでもなさそうだし。 さらに言えば、碧梧桐の父…

三尾の紅葉  (第127回)

これを書いているのは、もうすぐ梅雨入りの季節ですが、紅葉の話題も、成り行き上しかたがない。文庫本「坂の上の雲」第二巻の「日清戦争」という章に、正岡子規の引越しの話題が出てくる。転居のきっかけは就職だった。新聞日本に入ることができた。 芭蕉破…

六月の風  (第126回)

須磨 六月を綺麗な風の吹くことよ 子規 私の好きな句だ。これを知ってから、自然と毎年、綺麗な風の吹く季節が訪れるようになった。明治二十八年の作である。1895年。この年は、子規にとって事の多かった一年だった。4月、日清戦争に従軍。 大連湾に行く海上…