正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

不如帰  (第84回)

ホトトギスという鳥は、なぜそう読めるのか分からない漢字の名前をいくつか持っている。正岡子規は大喀血をしたとき、「坂の上の雲」にも出てくるように、口の中が赤いため血を吐くまで鳴くといわれる「子規」を号とした。柳田国男は「遠野物語」で、ホトト…

芦花公園  (第83回)

しばらく「肉弾」の話題が続いたので、ちょっと趣向を変えてみます。徳冨蘆花の話題を出すのは、彼の小説「寄生木」を読み終えてからにしようと思っていたのだが、最近、別件で世田谷に行った際、少し時間があったので芦花公園に寄ってみた。そのときのこと…

上陸地点  (第82回)

櫻井少尉が「肉弾」に記すところによれば、彼らの連隊が乗船した鹿児島丸の行き先は、連隊長と船長の二人しか知らなかったらしい。尉官かつ連隊旗手の職にある著者すら教えてもらっていなかった。そういうものなのか。 口が軽い兵とか、万一敵に通じている者…