正岡子規と「坂の上の雲」の感想文

寺本匡俊 1960年生 東京在住

2017-01-01から1年間の記事一覧

その人の足あとふめば風薫る  (第97回)

先般、私はここで軍事好きの「坂の上の雲」ファンも、文学好きも、正岡子規の一面しか見ていないと大見えを切った。撤回しません。「坂の上の雲」にも同様のことが書かれている。新しい国家をつくった国民的高揚の中で、子規も「一枚張りのロマンチスト」に…

吾人、文学に志す者  (第96回)

子規はせっかく入った東京大学の文学部なのに、中退せざるをえなくなった。司馬さんすら「子規も、よくなかった」と書いているように、多分に自業自得だった。二回も落第しているのだ。それも、全力で試験に取り組んだ結果ならともかく、年譜によると試験を…

従軍記者としての子規  (第95回)

拙宅はマンションの中層階にあり、建物が大通りに面していることもあって、東京の割には見晴らしがよい。上野の森も、スカイツリーも見える。そして眼下には根岸の里。ペンシルビルに隠れて直接は見えないが、子規庵も中村不折が建てた書道博物館もすぐそば…